不動産を売りたいと思ったとき、まず何から始めれば良いのか、どのような流れで進むのか、初心者の方にとっては分かりにくいポイントが多いかもしれません。
「媒介契約って何?」「査定額はどのくらい信用できるの?」「離婚や相続が絡む場合はどうなる?」といった疑問は尽きないでしょう。
しかし、不動産売却のプロセスを大まかに把握しておくことで、書類手続きや価格交渉、引き渡しまでのステップが見えやすくなり、失敗やトラブルを回避しやすくなります。
本記事では、初心者でも理解しやすい7つのステップに分けて、不動産売却の流れを具体的に解説。
スピード査定やリースバックなどのオプションを検討したい方、離婚・相続など特別な事情を抱えた方にも対応できるよう、各ステップでの注意点や専門用語の解説を交えながら進めていきます。
ぜひ、これから不動産売却を検討する方は、本記事を道しるべとして、自分の希望に合ったスムーズかつ納得度の高い売却活動をスタートしてください。
売却全体の流れを把握しよう

不動産売却には複数のステップがあり、書類準備や専門家との連携が必要になります。
大枠としては以下の7つのステップに分けられますが、離婚・相続・住み替えローンの活用など、売主の事情や物件の状態によって細部の対応が変わることを知っておきましょう。
相場調査と物件の整理
•エリアの相場や物件の特徴を洗い出し、必要な書類や権利関係を確認。
不動産会社の選定
•複数社へ査定依頼し、サービス内容や得意分野を比較。
媒介契約の締結
•専属専任・専任・一般など、契約の種類を選択し、報酬体系などを確認。
売却活動と内覧対応
•広告媒体や内覧スケジュールを調整し、買主候補との接点を増やす。
価格交渉と条件調整
•買主からのオファーを検討し、諸条件を詰める。
売買契約締結
•手付金の受領や契約書への署名捺印など法的手続きを行う。
物件の引き渡し・精算
•残代金の受領や抵当権抹消などを完了し、鍵を渡して終了。
離婚や相続が絡む場合は、法務・税務の専門家との連携が売却の成否を左右します。
また、売却保証制度やリースバックなどのオプションを使うとスピード重視の売却が可能になる反面、価格面や契約条件で制約がある点に注意が必要です。
次のセクションから各ステップをより詳細に解説し、押さえておくべきポイントをまとめます。
相場調査と物件の整理

不動産売却を成功させるには、まずは「自分の物件がどれくらいの価格帯で売れるのか」を把握し、必要な書類や情報を整理することが大切です。
離婚や相続で期限に追われている場合でも、このステップをおろそかにすると、あとで価格交渉や書類不備によるトラブルを招きかねません。
ここでは相場調査と物件情報の整理方法を詳しく解説し、ユーザー目線での注意点を掘り下げます。
書類準備と簡易チェック

不動産会社に査定依頼する前に、最低限の書類をそろえておくとやり取りがスムーズになり、正確な査定額を出してもらいやすくなります。
とくに離婚・相続など特別な事情がある場合は、名義や権利関係を明確にする資料が欠かせません。
相場調査の基本
•ポータルサイトで近隣の物件価格をチェック
似たエリア・同じ築年数・広さの物件を調べれば、初期の価格感をつかみやすいです。
併せて賃貸需要も調べると、買主へのアピール材料になることも。
•不動産会社へ見積もり依頼(簡易査定)
複数社から査定を取ると、相場価格の平均や各社の得意分野が見えてきます。
担当者の対応やサービス内容も比較して、自分に合った企業を絞り込むと良いでしょう。
物件情報の整理

•登記簿謄本や公図
名義人や敷地面積、構造を確認。
離婚や相続時に「誰の名義でどの部分をどう扱うか」をあらかじめ把握しておくと、あとで財産分与や登記変更がスムーズです。
•ローン残債や抵当権の状況
金融機関から残高証明書を取り寄せ、売却益だけで完済できるかシミュレーション。
残債が多いなら任意売却や住み替えローンの検討も選択肢です。
•設備やリフォーム履歴の確認

古い設備はマイナス査定になりやすいですが、リフォーム歴があればプラス評価になる場合も。
ここを改修すれば高値売却できると提案できれば、買主の印象を大きく変えられます。
離婚・相続など、ユーザー目線での注意
•財産分与や相続税支払いが発生する場合、早めに必要額や期限を把握すると売却価格の優先度が明確になる
•築古だから売れないと決めつけず、インスペクション(建物診断)やリフォーム提案を用意すれば高値売却や短期成約を狙いやすい
不動産会社の選定

複数社に査定を依頼し比較する
1社だけで決めると、相場より安い価格で売却したり、サービス内容が不十分で後悔するリスクが高まります。
選定ポイント
•仲介実績や得意分野
マンション売却に強い企業なのか、戸建や土地、離婚・相続相談に強いのかをチェック。
•サービス内容(リフォーム提案・売却保証・リースバックなど)
スピード重視や高値重視など、売主が求める方針に合った会社を選ぶ。
•担当者の相性やコミュニケーション
担当者が積極的に提案してくれるか、メールや電話対応はスムーズかなどを確認。
地元密着 vs. 全国フランチャイズ

•地元密着
商店街や町内会ネットワークを活用し、短期売却に繋がる場合もある。
離婚や相続で親戚や知人に買ってもらいたい場合などには適している。
•全国フランチャイズ
大手広告力や専門部署による住み替えローン、売却保証制度などが充実。道外投資家や遠方からの移住希望者を狙うなら強みを発揮する。
ユーザー目線Tip
•離婚・相続など煩雑なケースは法務・税務サポートを重視
•時間がなければ買取や売却保証つきプランを検討
媒介契約の締結

専属専任・専任・一般の違い
不動産会社と売主が売却活動を行う際、媒介契約を結ぶ必要があります。大きく分けて3種類の契約形式がありますが、それぞれ売却活動への影響や制限が異なるため注意が必要です。
契約の種類
•専属専任媒介
売主が自分で買主を見つける行為は原則禁止。
不動産会社が積極的に広告・宣伝を行い、売却を全力でサポートしてくれるメリット。
•専任媒介
他の不動産会社に重ねて依頼はできないが、売主が自分で買主を見つけることは可能。
専属専任より縛りが緩やかで、個人交渉による売却もアリ。
•一般媒介
複数の不動産会社に依頼できる。
ただし、責任の所在が曖昧になり、各社が本気で広告しない可能性もあります。
売主目線での選び方

•早期売却・積極アプローチを望むなら専属専任か専任
離婚・相続で期限がある場合は、不動産会社が集中して売却活動を行ってくれるメリットが大きい。
•複数社に売り出して広範囲に買主を探したいなら一般
ただし広告管理や重複問い合わせが発生しやすく、対応に手間がかかる点を理解しておこう。
売却活動と内覧対応

広告手法と反響確認
媒介契約を締結したら、いよいよ売り出し価格の設定と広告・宣伝が始まります。
•ポータルサイト(SUUMO、ホームズ等)
全国からの問い合わせが期待でき、道外投資家や移住希望者も視野に入る。
•地元紙・SNS・折込チラシ
地域密着企業ならではの手法。近隣住民や地域コミュニティに向けた売り出し情報が広がる。
•店舗設置の看板やイベント出展
町内会や地元イベントに積極参加し、短期間で買主とマッチングすることも。
内覧対応のポイント

•部屋を整え、空間を広く演出
家具のレイアウトや荷物整理を行い、買主がここに住みたいとイメージしやすくする。
•離婚・相続で売主が在住中の場合
プライベートや感情面での配慮が必要。事前に内覧予定をカレンダー化し、ストレスを軽減させる。
•ホームステージングの活用
予算があれば、プロによるステージングで魅力アップが期待できる。築古物件でもイメージが一新する可能性大。
•ユーザー目線Tip
離婚や相続でまだ荷物が散乱しているなら、ハウスクリーニングや不用品処分のオプションを検討。
短期売却を狙うなら価格設定と内覧対応の初動が最も大事です。
買主候補から購入申し込みが入ると、いよいよ「価格交渉」や「引き渡し条件のすり合わせ」が本格化します。
離婚や相続などで早期現金化を優先する場合は、値下げに応じるラインや売却期限を事前に決めておくとスムーズに対応できるでしょう。
一方、住み替えローンやリースバックなどを使って時間を確保したいなら、売主の事情を買主や不動産会社にしっかり伝え、追加オプションを検討するのも手です。
以下では、交渉時に押さえておきたいポイントや、オプション契約の活用方法を詳しく解説します。
買主オファーを吟味する

買主が提示する条件(価格・支払い方法・引き渡し日など)を検討しつつ、売主側の希望ともすり合わせてどこまで歩み寄れるかを見極めるのが重要です。
不動産売却時の交渉を円滑に進めるためには、以下のポイントを事前に整理しておくことが重要です。
まず、価格交渉幅については、「値下げはいくらまでなら可能?」を不動産会社とあらかじめ相談しておくと良いでしょう。特に、離婚や相続で最低限確保したい売却額がある場合は、早い段階でその旨を明示しておくとスムーズに話が進みます。
次に、引き渡し時期を明確にしておくことも大切です。たとえば、月末までに売却を完了させたいなどの具体的な希望がある場合は、買主との条件調整がしやすくなります。
特に、離婚後の新生活開始や相続税の納付期限などの事情がある場合は優先度が高いため、交渉の際に必ず伝えましょう。
リフォーム・補修条件として「屋根の修理費用は売主負担」「設備を残置するか」といった追加条件が付くことがありますが、これらの費用や工期は金額換算して、総合的に判断するのが望ましいです。
オプション契約(リースバック・住み替えローン等)

条件交渉の最中に売った後も住み続けたい・ローンが残っていて住み替えたいという要望が出る場合、リースバックや住み替えローンといったオプションも検討材料に加わります。
リースバックとは、物件を売却しつつ家賃を支払って住み続ける方式。子どもの学校区を変えたくない離婚時や、相続で家を手放す一方で実家として利用し続けたい場合に有効。カチタスやアキウルなど、即時買取+リースバックを提供する企業も増えています。
住み替えローンとは、既存ローン残債を新規ローンと一本化し、買い替えを進められる仕組み。土屋ホーム不動産販売など大手フランチャイズ系に相談すると、短期で申請しやすい傾向があります。
たとえ売却価格が少し高くても、引き渡し時期が合わなかったり補修費用を負担しすぎるとトータル損になる可能性があります。
また具体的な売却額が決まっていれば、財産分与や新生活への資金計画を立てやすく、交渉時もブレにくいです。
売買契約締結

買主との価格や引き渡し条件の交渉がまとまれば、「不動産売買契約書」を作成し、両者が署名捺印します。
ここで発生する手付金(通常は売買価格の5〜10%程度)は、売買を本格的に確定するための証のような役割を果たすものです。
離婚や相続など特別な事情がある場合でも、このステップをしっかり踏むことで法的トラブルを回避し、スムーズな引き渡しに近づけます。
以下では、契約書面の重要チェック項目や、離婚・相続などで追加される対応について詳しく解説します。
契約書面の重要チェック項目

売買契約の締結時は、「条文に書かれている各項目が想定通りになっているか」を売主・買主双方がしっかり確認する必要があります。
特に初めて売却するユーザーの場合、不動産用語や法律用語が多く戸惑うかもしれませんが、疑問点があれば必ず担当者に質問し、納得したうえで署名するのが大切です。
離婚・相続など時間的余裕がない状況でも、ここでの確認を怠ると後々のトラブルや違約金請求に発展し兼ねません。
契約書の主な項目
•売買価格・支払い方法・手付金額
売買価格や決済時期、振込方法などを明確に。手付金は売買価格の5〜10%程度が目安ですが、物件価格や交渉状況によって変動します。
•引き渡し時期・条件(リフォーム、荷物残置など)
引き渡しの具体的な日付を設定し、売主が荷物を残してよいのか、リフォームをしてから引き渡すのかなどの詳細を条文化することで、後日の食い違いを防ぎます。
•違約金・契約解除に関する条項
もし買主がローン審査に落ちた場合や、売主が引き渡しを遅らせた場合にどう対応するか、違約金をどう設定するかなどを明記しておくことで、不測の事態に備えます。
•その他特記事項(境界確定、リースバックの場合の家賃など)
境界線が曖昧な土地は境界確定作業を売主が行うのか、リースバック契約なら家賃はいくらでいつから発生するのか、といった細かい部分も特記事項として加えると、後々のトラブル回避に効果的です。
離婚・相続の場合の追加対応

離婚や相続が絡む物件では、売買契約に必要な同意や書類が増えるケースが多いため、契約時にどのような追加ステップがあるかを理解しておくとスムーズに進められます。
夫婦で共有名義にしている物件なら、契約書への署名捺印は両者が行う必要があります。
相続人が多数いるケースでも、全員の同意と署名がなければ売却自体が成立しないため、実印の用意や印鑑証明の取得など、売主全員が協力する体制を早めに整えておきましょう。
また、離婚の場合の財産分与や、相続の場合の相続税申告が同時進行しているときは、司法書士や弁護士、税理士といった専門家と連携して契約書を整合させる必要があります。
特に相続税の納税期日が迫っている場合や、離婚後のローン残債を誰が引き継ぐのかなどの問題が絡む場合には、契約条項にしっかり反映させるよう注意が必要です。
印紙税や仲介手数料など、契約時に発生する費用を把握

ALT 仲介手数料 イメージ
売買契約書には印紙を貼付しなければならないため、印紙税の金額を事前に調べておくと安心です。
また、仲介手数料はどのタイミングでいくら支払うのかを、不動産会社に確認しておきましょう。
難しそうだからと理解せずに署名してしまうと、引き渡し後に想定外の違約金や条件変更を迫られるリスクがあります。
特に離婚や相続で精神的な余裕が少ないときは、契約内容のチェックを不動産会社任せにせず、自分自身でも目を通しておくことが大切です。
不動産を売却する際、まず「自分の物件がどのくらいの価格帯で売れるのか」を知り、あわせて必要な書類や情報を整理することが極めて大切です。
離婚や相続など、時間的に余裕がないケースであっても、このステップを怠ると価格交渉や書類不備によるトラブルが生じ、結果として売却期間が長引いたり、希望価格での成約が難しくなる可能性があります。
以下では、相場調査と物件の整理を具体的に進めるためのポイントを詳しく解説します。
書類準備と簡易チェック

売却査定を依頼する前に、最低限の書類を揃えておくことでスムーズなやり取りが可能になり、不動産会社からの査定額も精度が高まります。
特に、離婚・相続で名義や権利関係が複雑な場合、どの部分を誰が権利として持っているのかを明確化しないと、後々の手続きで手戻りが発生しやすいので注意しましょう。
相場調査の基本
ポータルサイトで近隣の物件価格をチェックをすると似たエリア・同築年数・同じような広さの物件を探すと、おおよその売却価格帯が把握できます。
特に離婚や相続で時間が限られている時期でも、オンラインで手軽に情報収集できる点は大きなメリット。
投資需要や賃貸需要が高いエリアなら、その点も買主への訴求材料になります。
1社だけで決めるのではなく、複数社から査定を取ると相場価格の平均や、各社の強み(スピード査定、法務サポート、住み替えローン対応など)が見えてきます。
担当者の対応やサービス内容も確認し、自分に合った企業を絞り込むと良いでしょう。

名義人・敷地面積・構造などを正確に把握し、離婚や相続の際は「どの部分を誰が所有しているのか」を明文化することが重要。
共同名義や相続人が多い物件は、書類作成や権利調整に時間がかかる場合があるため、早めに確認しておくと後の手続きがスムーズです。
金融機関から残高証明を取り寄せ、売却益で完済できるかシミュレーションしておきます。
もし残債が多い場合、任意売却や住み替えローンなど別の選択肢も考慮が必要です。
離婚・相続で急いでいる場合は、抵当権抹消のタイミングや金融機関との交渉も売却計画に含めて進めましょう。
また、設備やリフォーム履歴の確認、キッチンや浴室など古い設備がある場合、買主の印象を下げる可能性があります。
一方、ここを改修すればより高値で売れるというリフォーム案や履歴があればプラス査定につながりやすいので、建物状態を整理しておくと良いでしょう。
売却に時間がかかると財産分与や相続税申告が遅れ、ペナルティや追加負担のリスクが生じるため、優先度を明確にしたうえで売却計画を立てるのがおすすめです。
弁護士や司法書士、施工業者と連携できる不動産会社を選ぶことで、手続き面や工事面の負担を最小化できるでしょう。
まとめ

不動産売却は「相場調査と書類準備」から始まり、不動産会社の選定、媒介契約、売却活動・内覧対応、そして価格交渉と条件調整、契約締結、引き渡しという一連の流れを経て完結します。
とくに離婚や相続など期限が決まっているケースでは、早期の相場チェックや必要書類の整理が重要なカギとなります。
スピードを優先するなら、即時買取や住み替えローン、リースバックといった追加オプションを持つ企業を検討し、高値を狙うなら時間をかけた仲介とリフォーム提案を得意とする会社を選ぶのも手です。
また、名義変更や財産分与など法務・税務が絡む場合は、弁護士・司法書士・税理士との連携が不可欠なので、ワンストップでサポートできる不動産会社を探すとスムーズ。
各ステップごとのポイントを押さえて複数社を比較すれば、納得度の高い売却とライフプランに適した結果を得やすくなるはずです。